原点
a0121954_17473282.jpg今日は、スタッフと一緒に、イタリアンレストランで晩ご飯。JR花園駅近くにある、裏道の人目に付かないカウンターだけの小さなお店。マスターが、ずっと一人でやってます。ここは、ある意味僕の原点。



出会いは22年前、このカルボラーナ、初めて食べた時は「ガツン!」と来ました。
鼻血がでる位。
でも、無愛想な店でした。

それから、一週間毎日通って、
店にあるもの一つずつ全部食べていったら、最後の日に
マスターが「自分変わってんなー。」が、始まり。
このマスターの口癖が「ええんとちゃうん。」
実はこの人が、ポワン・プール・ポワンの名付け親、そう God father。

まだ勤めていた僕が、目標を見失い欠け迷っていた時に
「自分でやったら、ええんとちゃうん。」と言われ、年若くお金も信用も無い
自分には無理だと言うと
「家の台所で作って、車に乗せて売って歩いて、それで生活出来ないんやったら
新聞配達でもしたらええんとちゃうん。」

こちらも単純に直ぐに決行!(かなり子供です)だから屋号も考えていなかったら
「名前考えていたんや。」と。
シャンソンの詩からとった文字で
日本語で「少しずつ」という意味の「ポワン・プール・ポワン」を付けてくれました。
後で書きますが、これがいい加減!

何にしても、このお店旨いです。
でも、かなり変わってます。
本人は否定しますが、僕に言わせると
「日本一(言い過ぎ)少なくとも京都一やる気の無い天才料理人」

マスターは「いらっしゃいませ」が嫌い、言わない、
席に座っても水も、おしぼりも出てこない。
驚く無かれ、メニューも無い(本当はボロボロのは有るけど普段は出してこない。)
セットメニューやランチ、絶対にしない。
本日の、お薦めメニュー・・・やらない。
気が入らないと作りたがらない。
忙しくなると、お客さんを断る。

一見すると、我が儘ですが、長く付き合うとわかるんです。本物の自然流。
随分昔ですが、お店に車が突っ込んで半壊した時も「ええんとちゃうん。」と
そのままの状態で、営業してました。
真冬に・・・寒いっちゅうねん!
まぁ、馴染みのお客さんも普通に食事してましたが・・・。

それ以上な何が凄いかというと、このマスター全く変わらない、ぶれない。
ここは自分が知って以降の22年間、メニューも、
店の雰囲気、在り方、何もかも、変わらない。
故に、このお店の味、落ち着いた独特の空気や、
マスターに魅せられて、常連のお客さんの中にも
徐々に「何故変わろうと、成長しようと、努力しないのか?」と離れてしまうのを
感じたこともありますが、この店は、マスターは変わらない。

確かに、サービス業としては、どうかな?って思うときは、有るんですが
「趣味でやってる店」と言う人もいるけど、ご本人は、そんなつもりは、全く無し。
ここ迄来ると、この人の生き様ですね。
このお店では、お客さんもマスターも対等。
だから、「如何いたしましょうか。」といった発想が無いんです。
お客さんに対しては「あぁ、来たんやー。まぁ、食べてったら。」といったスタンス。
お客さんは、自分でビール開けて、どうしても食べたければ、材料持参。

今や、すっかりグルメブーム。TVでは、所謂「美味しい店」のオンパレード。
雑誌や本もグルメが一杯。
「美味しい」って何だろう?
料理を作るとき、味・技術・素材・知識は、とても大事だと思うんですが、
その上で僕にとっては、口に入れた時に、ジワリと伝わってくる、作る人の心かな
「心の癒し」口福ですね。
僕は、マスターの手が好きなんです。
おいしそうな物を作る手なんです。
そういう手になりたいのですが、まだまだ、なれない、
もっと頑張ろうと考え込んでると
マスターの「ええんとちゃうん。難しいなぁー。はよ食べや。」

P.S
point pour point(ポワン・プール・ポワン)ですが、マスター詩の行を読み間違えて
上段下段の文字を合わせてしまいました。
この様な、フランス語はありません。(何やそれ)
気が付いたのが、営業始めて、2年も経っていたので
今更直す事も出来ず、現在に至りました。
この件に関してのマスターの回答は
「えっ!?まぁええんとちゃうん。」でした。
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by point_pour_point | 2005-10-31 21:45 | グルメ
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